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キャノンボール・アダレイ/イン・シカゴ

JAZZ Sax 2

2005年06月20日

in_chicago.jpeg Canonnball Adderley /Cannonball Adderley Quintet in Chicago

 今日はキャノンボール・アダレイの『イン・シカゴ』です。59年当時のキャノンボールとコルトレーンという絶好調サックス2管はジャズ史上でも最強のフロントと言って過言ではありません。それに当時のマイルス・グループのリズム隊とくればこれはもう楽しいというだけでなく何かスリルのあるジャズが生れないわけがないという垂涎の組み合わせです。パーソネルは、キャノンボール・アダレイ(as)、ジョン・コルトレーン(ts)、ウィントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、ジミー・コブ(ds)。1959年2月Sutherland Hotel in Chicago録音。Mercury Records。

 キャノンボール・アダレイのアルバムはどれも高水準ですが、本作も間違いなく最高水準のジャズ・アルバムではないかと私は密かに思っております。全6曲、レコードではA面に1~3、B面に4~6です。前半のA面はキャノンボール主体、後半のB面はコルトレーン主体という色分けがなされているようです。

 4曲目Grand Central が実にいいです。これはコルトレーンの曲で、まさにほぼ同時期の『ジャイアント・ステップス』(59年4~5月)のあの隙と遊びのない世界です。キャノンボール→コルトレーンという順でソロがありますが、キャノンボールが圧倒的なアドリブプレイを披露しています。凄まじいテクニックで一気に吹き切っていまして、コルトレーンも真っ青となるような新鮮なソロです。コルトレーンに刺激を受けた結果でしょうが、あのジャイアント・ステップスをキャノンボールが録音していたら従前の斬新さに加えてさぞかし楽しいものになったでしょうにとふと思ってしまうのは私だけでしょうか。

 2曲目「アラバマに陽は落ちて」でのキャノンボールのソロはさすがにこれは素晴らしいものです。完全にコントロールされたアルトは至芸の域に達しています。5曲目You're a Weaver of Dreamsはコルトレーンのあのバラッドの味のある世界ですね。この2&5曲目は各々が単独のソロをとりまして、それぞれに持ち味を最大限に出した名演と言えるものです。ただ繰り返しになりますがやはりこの両雄が火花を散らすという点では4曲目が実に興味深い演奏だと思うのですね。また、一方で、6曲目Sleeper、これもコルトレーン作の魅力的なブルースですが、こちらでは残念ながら我らがキャノンボールはオーソドックスなキャノンの枠を越えておらず今一歩の感を持ちます。コルトレーンのソロのあと、キャノンかなと思いきやケリーのピアノが出てきて、このまま終わるかに見えた頃にキャノンが登場しまして、曲調と流れからこう演奏するしかなかったんですというようなexcuseを感じさせる内容です。

 いずれにしましても、圧倒的なキャノンボールのアルトです。その早弾きと、かつ音色までをも自在にコントロールするテクニック、その一種の個性にまで昇華された技巧を持ってすれば、本来はオーソドックスなバッパーであっても、シーツ・オブ・サウンドとか新主流派とか言ったくくり方をされる新興ミュージシャンと対等に渡り合えるということです。もし60年代にチャーリー・パーカーがそのまま出現したとしてもその個性でもってやはり天才とはいかずとも最高の評価がなされたことでしょうが、その種の個性と実力をキャノンボールは持っていて、このアルバムで油の乗ったコルトレーンと共演する中できっちり証明しているのではないのかなと思うのです。こうしたキャノンとコルトレーンの両雄の微妙な関係性を念頭に入れつつ、各々の芸に舌鼓を打つ、これもまた楽しからずやというところです。

1. Limehouse Blues
2. Stars Fell on Alabama
3. Wabash
4. Grand Central
5. You're a Weaver of Dreams
6. Sleeper

Amazon.comでは試聴可能です。→Cannonball Adderley Quintet in Chicago

詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Canonnball Adderley /Cannonball Adderley Quintet in Chicago

関連エントリーはこちら。→ジョン・コルトレーン『ジャイアント・ステップス
           →キャノンボール・アダレイ『ノウ・ホワット・アイ・ミーン

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投稿者 Jazz Blogger T : 21:41 | トラックバック

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