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ルイス・ヴァン・ダイク/バラード・イン・ブルー

JAZZ Piano 3

2005年09月14日

ballads_in_blue.jpeg Luis Van Dijk / Ballads in Blue

 今日はあのルイス・ヴァン・ダイクのピアノ・トリオ作品です。ご存知の方も多いと思いますが、アン・バートンの2枚の名作でピアノ伴奏をしていたあのルイス・ヴァン・ダイクです。30年以上の時の経過を感じさせない可憐なピアノが響き渡ります。パーソネルは、ルイス・ヴァン・ダイク (p)、 エドウィン・コージリアス (b)、フリッツ・ランデスバーゲン (ds)。2004年アムステルダム録音。M&I。

 アン・バートンの有名な『ブルー・バートン』(1967)を初めて聞いた時にバートンの歌声よりも最初に印象に残ったのは素敵なピアノの響きでした。その抜けるような高音の明るい呟きに私はまさに白昼夢を見たのでした。それ以来、ルイス・ヴァン・ダイクというピアニストの名前が脳裏に深く刻み込まれました。

 本作は待望の最新作です。恐る恐る聞き始めました時は、初恋の人と何十年も後に会うような不安と期待が入り混じる気恥ずかしい心持でしたが、実際に耳にしますと予想外にも昔の面影がはっきりと感じられてとてもとてもうれしくてありがたい気持ちになれたのでした。全然お変わりございませんね、なんて。気さくに語りあえるような雰囲気なのでございます。

 あなたのピアノはヨーロピアンの典型的な音なのですが、右手の跳ね上るような高音部での動きと響きが印象に残りますですね。そうしたクセは30年以上を経ても変わらぬのですね。クラシックの素養から来ると思われる全体のバランス感覚なども含めて昔のスタイルをしっかりと堅持していらっしゃるのです。あなたはすでに60歳を超えてなお美しくて愛らしいジャズをいまだに奏でておられたのですね。安らぎのあるピアノ音に耳を傾けていますと、ああ、昔の感動が蘇ってきます。じんわりと至福感が内から広がってくるのがわかります。ありがとう。会えてよかった。思わず涙が溢れてきます。もう離れないでいつもそばにいてくださいね。

 ちょっと入り込み過ぎましたね(笑)。いやはや本当に嬉しいのです。ヴァン・ダイクの優しいピアノの響きに耳を傾けていますと本当に人生を諦観できるかのような恍惚感がじんわりとにじみ出してくるのです。このほのぼのとしたありがたい気持ちは何ということでしょう。音楽を聞くことによってこんな気持ちになれることはそうそうないことです。かつてバートンのすさんだ心の叫びをしっかり受け止めて包み込みながら慰み返しのエールを送る、それが我々第三者をも癒してくれるというそんなピアノがまさに蘇ったような感触なのです。

 今をときめくビル・チャーラップやエリック・リードら実力派ピアニストをモーツアルトに例えるなら、ヴァン・ダイクはハイドンのよう。儚くも可憐に美しく咲く野辺の小花のように淡白で端正な佇まいですね。私はそんなあなたのことが心底好きです。これからもずっと愛することができると思います。それに本作の音質がまた素晴らしくて、ピアノ音が一層引き立っています。『ブルー・バートン』や『バラード・アンド・バートン』でのピアノ音も異常にいい録音で特徴あるピアノをよく捉えていましたっけ。この落ち着きのある美しい雰囲気は秋の気配によく似合うものですね。1曲目や2曲目の映画『いそしぎ』主題歌で聴かれるヴァン・ダイクのおおらかで繊細で麗しいピアノ音はまた再び私の心奥深くに刻み込まれて決して忘れることができない印象を残してくれました。それに6曲目ボサノヴァ風アレンジのEstateでの慎ましやかで洗練された美学には感謝の念を抱きたくなります。本当にありがとう。
 
1. Go Away Lttle Girl
2. The Shadow Of Your Smile
3. I Can't Give You Anything But Love
4. Round Midnight
5. Where Ware You
6. Estate
7. The Summer Knows
8. More Than You Know
9. Chez Regine
10. Triology
11. GOne With The Wind
12. Liz Anne
13. It Might As Well Be Spring

Louis Van Dijk ルイス・ヴァン・ダイク (p) Edwin Corzilius エドウィン・コージリアス (b) Frits Landesbergen フリッツ・ランデスバーゲン (ds) ; Recorded 2004-10-11,12,at Amsterdom.

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  → Luis Van Dijk / Ballads in Blue

関連エントリーはこちら。
  → アン・バートン『ブルー・バートン』
  → アン・バートン『バラード・アンド・バートン』

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投稿者 Jazz Blogger T : 09:35 | トラックバック

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