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フィニアス・ニューボーンJr/ア・ワールド・オブ・ピアノ

JAZZ Piano 2

2005年06月03日

world_of_piano.jpeg Phineas Newborn Jr. / A World of Piano

 今日はフィニアス・ニューボーンJrの傑作アルバム『ア・ワールド・オブ・ピアノ』です。そのテクニックはジャズ・ピアノ史上恐らくトップでしょう。そのフィニアス・ニューボーンJrの代表作といえば本作です。パーソネルは、フィニアス・ニューボーンJr(p)、ポール・チェンバース、サム・ジョーンズ(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ、ルイス・ヘイズ(ds)。1961年LA録音。Contemporary Records。

 両手ユニゾンなどに見られる驚くべきテクニックは、一歩間違えばバカテクの類になりかねないところなのですが、このフィニアス・ニューボーンJrは十分に高い音楽性を伴っていているのですね。フィニアス・ニューボーンJrは1931年米メンフィス出身。56年にニューヨークでデビュー後、初レコーディングはプログレッシブ盤、ついでリーダー作をアトランティックに1枚、RCAに4枚、ルーレットに2枚、そして、61年以降は本作も含めたコンテンポラリーに3枚というハイ・ペースでリーダー・アルバムを残してゆくことになります。本ブログでも以前にお気に入りのRCA盤についてはご紹介しています。→ 『フィニアス・レインボウ

 50年代デビュー当時にはそのテクニックを披露すべくもっぱら急速調の演奏が多かったのですけれど、60年代の本作などに至りますと成熟したジャズ・ピアノ音楽を聴くことができますね。例えば、3曲目のビリー・ストレイホーンのスタンダード曲「ラッシュ・ライフ」などのバラッド演奏にはファンタジーでブリリアントな側面が見事に現れています。

 余談ですが、曲の冒頭にラベルのピアノ曲「ソナチネ」のフレーズが出てきて面くらいますね。アルゲリッチのアルバム『夜のガスパール』のB面に入っていて聴きこんでいる曲だけにその覚束なさを少し感じたりします。ジャズマンがときにクラシック曲をまともに演奏することがありますが私はあまり好きではありません。このフィニアス・ニューボーンJrの場合はまだ許せる範囲ですが、私共が耳にする機会の多いクラシックの超一流プロの演奏と比べますとやはり脇の甘さなどが目についてしまうのですね。

 また、7曲目、ベーシスト、ルロイ・ヴィネガー作でピアニスト、カール・パーキンスに捧げられた「フォー・カール」でのリリカルなジャズ・ワルツ演奏には可憐な佇まいの哀感があって実によい具合なのですね。カール・パーキンスをフィニアス・ニューボーンはフェイヴァリット・ピアニストの一人として挙げているそうですが、私も大好きなピアニストです。以前ご紹介したアルバムはこちらです。→ カール・パーキンス『イントロデューシング』

 テクニック抜群のピアニストですぐ思いつくのがスペイン出身の盲目のピアニスト、テテ・モントリューです。こちらはラテンの血を感じさせる饒舌で情熱的なピアノなのですね。以前ご紹介したアルバムはこちらです。→ テテ・モントリュー『テテ』

 話にまとまりがありませんが、本作は全8曲収録、素敵なピアノ・ジャズ・アルバムだと思います。尖がった個性を感じるのは50年代デビュー間もない頃の演奏、洗練されて円熟したピアニスティックなピアノなら60年代以降、特に本作は申し分のないハイ・レベルの演奏かなというところです。

1. Cheryl
2. Manteca
3. Lush Life
4. Daahoud
5. Oleo
6. Juicy Lucy
7. For Carl
8. Cabu


JR.comでは試聴可能です。→Phineas Newborn Jr. / A World of Piano

詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Phineas Newborn Jr. / A World of Piano

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