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ソニー・クラーク/リーピン・アンド・ローピン

JAZZ others 2

2006年05月02日

leapin&lopin.jpeg Sonny Clark/Leapin' and Lopin'

 ソニー・クラーク最後のリーダー作。最もクラークらしいグルーヴィーなピアノが聞けるお好みの傑作アルバムです。この1年後31歳で死ぬことになるクラークは晩年とはいえいつもの愛すべきクラークそのものなのです。パーソネルは、トミー・タレンタイン(tp)、チャーリー・ラウズ(ts)、アイク・ケベック(ts)、ソニー・クラーク(p)、ブッチ・ウォーレン(b)、ビリー・ヒギンス(ds)。1961年11月NYC録音。BlueNote 4091。

 連休4日目の今日は運動不足解消がてら家の近くを1時間ばかりiPodを携えてウォーキングをしました。昼下がりの陽光ふり注ぐ新緑に包まれた閑静な街路を全く相応しくないソニー・クラークのジャズ・ブルースを聞きながらひたすら歩いたのでした。目に見える風景と耳に入る音楽のアンバランスを楽しみながら不思議で快適な時間が過ぎてゆきました。

 ソニー・クラークのピアノ・ソロの部分が妙に印象に残るのでした。実にいい感じなのです。ファンキーというほどではないにしてもその強烈なグルーヴ感は尋常ではないです。ソニー・クラークってやはりただ者ではないなと一人ごちるというわけです。それにチャーリー・ラウズもトミー・タレンタインもいかにもB級という感じでインパクトは弱いながらも十分なテイストを放っているではありませんか。

 ラウズ、タレンタインの後に待ってましたクラークのソロがいずれも凄く濃ゆ~いのです。重いシングルトーンが的確にカウンターを探り当てます。疲れを知らない中量級の重いハードパンチャー。次々と繰り出されるしぶといブローにTKOに追い込まれるのです。

 2年ぶりのリーダー作とあってクラークの張り切る姿勢が感じられ、まさに本領を発揮しているに違いありません。アルバムとしても愛着の持てる内容にまとまっていると思います。ラウズのテナーがファンキー調の牽引役としてよく機能しています。

 5曲目Voodooはクラークの典型的なブルース、ジャズの醍醐味を示していてこれがまずとても素晴らしい。いずれのソロも素敵ですがやはりクラークのソロには唸らされます。ソニー・クラークの真髄、真骨頂のような演奏です。粘りのあるフレージング、ブルージーなフィーリングなどはクラークがなぜこれほど愛されるかを如実に教えてくれる典型例だと思います。1曲目 Somethin' Special は少しアップテンポですが同様なマイナーブルースで、こちらでもクラークの暗めながらよくスイングするピアノが聞きものになっています。

 3曲目Melody For Cはミディアムテンポのキュートで明るい素敵な曲。ラウズのテナーがさすがに冴えてます。クラークのソロも実に心地よいものです。2曲目はラウズに代わってこの曲だけアイク・ケベックが登場して優しいバラッド演奏です。まずもってクラークの作曲の才が湛えられるべきです。そしてケベックが哀愁のあるメロディを情緒豊かに歌い上げます。骨太でアーシーなテナーを吹くアイク・ケベックはあまり有名ではないけれど、同時期の1961年にはブルーノートに3枚のリーダー作を残す活躍ぶりです。

 全体に聞き応えのあるハイレベルな内容になっています。本作は少し地味であまり目立たないアルバムかもしれませんが、ソニー・クラークの他の著名なアルバムと同列に並べることのできる力作だと思います。麻薬に手を染めて短く燃え尽きた一人の才能あるジャズマン、その遺品として大事に慈しみたくなるような愛すべき音楽。ハードバップ・ファンにはお勧めです。

1. Somethin' Special
2. Deep In A Dream
3. Melody For C
4. Eric Walks
5. Voodoo
6. Midnight Mambo

Tommy Turrentine (tp), Charlie Rouse, Ike Qebec (ts), Sonny Clark (p), Butch Warren (b), Billy Higgins (ds). NYC, 1961. 11. 13.

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Sonny Clark/Leapin' and Lopin'Sonny Clark - Leapin' and Lopin'

ソニー・クラークの過去エントリはこちら。
→ ソニー・クラーク/クール・ストラッティン
→ ソニー・クラーク/ダイヤル・S・フォー・ソニー
→ ソニー・クラーク/ソニー・クラーク・クィンテッツ
→ ソニー・クラーク/ソニーズ・クリブ
→ ソニー・クラーク/ソニー・クラーク・トリオ(Time)
→ ソニー・クーラク/ソニー・クラーク・トリオ(BlueNote)


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投稿者 Jazz Blogger T : 22:29 | トラックバック

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