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ウェス・モンゴメリー/ボス・ギター
JAZZ Guitar 1
2005年06月16日
Wes Montgomery / Boss Guitar
今日はウェス・モンゴメリーの『ボス・ギター』といきましょう。モダン・ジャズ・ギターの代表者と言えばやはりこのウェス・モンゴメリーに落ち着くのでしょう。後のフュージョンの先駆者としてテクニックと音楽性を併せ持っていました。パーソネルは、ウェス・モンゴメリー(g)、メル・ライン(org)、ジミー・コブ(ds)。1963年NY録音。Riverside Records。
本作は63年録音と思えないほどすでに後年のクロスオーヴァーらのカッコイイ感触を発散しているのです。シンプルなトリオ演奏でアーシーでジャジーな魅力が十分にある上、とても心地良い快楽印のフュージョン系音楽に仕上がっているのですもの。最初の印象は少々軟弱なのですが、聞き込むうちにその真価が自ずと明らかにされてゆきます。
ウェス・モンゴメリーのギターとオルガンの組み合わせというのはなかなかツボを押えた演出なのですよ。50年代のモンゴメリーといいますとオクターブ奏法とかの超絶のテクニックが前面に出てきますが、本作含めて60年代になりますと渋いジャズ・センスの魅力が際立ってきまして、特に本作ではお馴染みのスタンダード曲の口当たりのよい演奏が極上の「なごみ」系ミュージックに仕上がっていまして、週末の夜に軽く一杯やりながらの癒しタイムなどにもってこいのアルバムでしょう。
お勧めは10曲目のFor Heaven's Sakeです。流石に渋い。くすんだ音色が妙に魅力的なのです。6曲目のCanadian Sunsetや4曲目のDays Of Wine And Roses、それに10曲目の「そよ風と私」などがいい感じです。アレンジが多少俗っぽいと言えば俗っぽいのですが、ジャズ・フィーリングが横溢していまして決して厭味にはなっていません。
ほんとはテクニシャンだけれどそれをぐっと抑えて真正面から音楽性で勝負する姿勢には肯けるのです。ケニー・バレルのブルース・フィーリングを都会的に洗練したような味わいは素晴らしいバランス感覚に裏打ちされているのです。ウェス・モンゴメリーは本作のあとA&Mに移籍してクリード・テイラーの好みに一致してよりポップなイージー・リスニング的世界に浸ってゆくことになりますが、残念なことに68年6月15日に43才の若さで亡くなっています。モンゴメリーにとって全盛期が60年代以降となったことは本当に不幸だったのかもしれません。60年代後半は正統派モダン・ジャズにとっては冬の時代だったのです。
1. Besame Mucho
2. Besame Mucho - (take 2, bonus track)
3. Dearly Beloved
4. Days Of Wine And Roses
5. The Trick Bag
6. Canadian Sunset
7. Fried Pies
8. Fried Pies - (take 1, bonus track)
9. The Breeze And I
10. For Heaven's Sake
JR.comでは試聴可能です。→Wes Montgomery / Boss Guitar
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Wes Montgomery / Boss Guitar
関連エントリーはこちら。→ ウェス・モンゴメリー『フル・ハウス』
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:43 | トラックバック
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