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ウラジミール・ホロヴィッツ/展覧会の絵

_Classic

2005年04月17日

pictures_at_an_exhibition.jpeg Vladimir Horowitz/ Pictures at an Exhibition

 今日はホロヴィッツのピアノでムソルグスキーの『展覧会の絵』です。昼間山歩きをしながらFMでラベル編曲の同曲(東京フィルハーモニーの2005年2月ライブ演奏)をたまたま聞きまして、それが色彩感のある大変に良い演奏でしたので、今日はこの曲のことを書こうと思い立ったのでした。前から気になっていたホロヴィッツのピアノ・バージョンをここではご紹介したいと思います。1951年のライブ録音。トスカニーニ指揮のチャイコフスキー・ピアノ協奏曲第1番とのカップリングです。

Horowitz40s.jpeg 私が中学生の頃に我が家にはじめて家具調の立派なステレオなるものがお目見えしまして、音楽に関心のない父親が子供のために買ってきてくれた記念すべき最初のレコードがイムジチのビバルディ「四季」と小澤征爾指揮シカゴ響の「展覧会の絵」なのでした。ただ最初はB面に入っているブリテン「青少年のための管弦楽入門」の方が分かりやすくて楽しめたことを記憶しています。それに丁度その頃嵌っていたプログレッシブ・ロックっていうのがありまして、その中の著名グループのエマーソン・レイク&パーマー、ELPが同曲をムーグ・シンセサイザーを駆使して演奏したライブ・レコードが出て一挙にこの曲に親近感を抱いたのでした。この「展覧会の絵」はそういう意味で私にとりましてとても馴染みのある曲だったわけで、プロムナードのメロディなどは耳にこびりついているようですね。

horowitz.jpeg それでこのホロヴィッツの演奏です。ご存知の通りムソルグスキーの原曲は実は純然たるピアノ曲でして、モーリス・ラベルが20世紀になってオーケストラ用に編曲したものが現在一般によく知られているものなのですね。ピアノ大好きの私は当然のごとくにピアノによる原曲を聴いてみたいという欲求があり、このホロヴィッツの演奏にすぐに遭遇することになりました。47年のスタジオ録音と51年のライブ録音の主に2種が入手可能です。本アルバムは後者で音質が十分に鑑賞に堪えるものです。

 ホロヴィッツのピアノ演奏は、確かに音の魔術師と呼ばれたラベルの手に掛かかるオーケストラ版ほどの色鮮やかさは希薄ではありますが、ピアニスティックで力強く輝きのある見事な演奏だと思います。むしろピアノの方が適していると思える部分が結構にあると思いますね。例えば、カタコンブの詩的な響きやキュートで美しいCon Mortuisのメロディなどはやはりピアノならではと思われますし、サミュエル・ゴーデンバーグなどもピアノの方が面白いですね。チュイルリーや牛車のところもピアノで必要十分かもと思えます。それに、最後を飾る圧巻のキエフの大門などではホロヴィッツのピアノは十分にそのフィナーレの盛大さ、構築美、大地のような重いリズムなどの特徴を伝えることに成功していると思います。

 この演奏はホロヴィッツ自身が少し編曲しているとのことですが、ムソルグスキーの原曲の美しさがしみじみとわかる演奏だと思いますね。ムソルグスキーの偉大さを噛み締めます。そういえば「はげ山の一夜」なども実に凄い曲ですよね。それにしましてもホロヴィッツのピアノの力量というのは大したものだと改めて感嘆いたします。ホロヴィッツはこの後80年代になっても素晴らしい演奏を繰り広げましたから半世紀間常にトップに君臨したということですね。本当に息の長い、まさに20世紀を代表するピアニストですね。

 あと、このアルバムにはチャイコフスキーのピアノ協奏曲が入っていまして、音質がかなり劣る点が残念です。名指揮者でホロヴィッツの叔父でもあるトスカニーニ指揮の劇的な内容の演奏になっています。もちろんピアノはホロヴィッツですが、これはおまけという感じですね。

1. 展覧会の絵*組曲
作曲 ムソルグスキー
演奏: ホロヴィッツ(ウラジミール)
2. 水辺で
作曲 ムソルグスキー
演奏: ホロヴィッツ(ウラジミール)

3. ピアノ協奏曲第1番変ロ短調
作曲 チャイコフスキー
演奏: NBC交響楽団, ホロヴィッツ(ウラジミール)
指揮 トスカニーニ(アルトゥーロ)

詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Vladimir Horowitz/ Pictures at an Exhibition

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