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飢餓海峡/内田吐夢

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2004年09月03日

飢餓海峡飢餓海峡/内田吐夢

 こんにちは。今日は日本の古い映画、内田吐夢監督「飢餓海峡」です。出演は、三国連太郎、伴淳三郎、左幸子、高倉健、他。1965年、東映作品。原作は水上勉の同名小説です。学生時代に京都の一乗寺というところにある京一会館という学生にはよく知られた映画館でオールナイトの何本かの1本として見ました。三国、伴、左、3人の俳優のこと、そのミステリー風ストーリー、そして津軽海峡を渡る青函連絡船のラストシーンに、深い感銘を受けた記憶がいまだに鮮明にあります。

 日本の映画ベストテンなどの企画で上位に入る常連の映画ですので、まだ見ていない映画好きの方がいらしたら是非ともレンタル屋さんにいけば大抵ありますから、一度ご覧になっておくとよいと思いますよ。昭和というまだ貧困の残る日本の時代風景、その貧困から這い上がろうとする本当は心優しい人々の業というもの、そしてそういう社会の陰の部分に何か現在に通じるものを感じ取ることができるのではないでしょうか。

 映画を見てそのストーリーに興味が残ったら、きっと原作を読んでみたくなることでしょう。水上勉氏の作品には、この種の時代や環境に支配される人間の業を描きつつ世の中の矛盾や不合理を訴える類のものが多いと思いますが、この飢餓海峡はその代表的作品です。文庫本でも上下2巻ありますが、たぶん一気に読んでしまえるでしょう。映画もよいですが、原作もさらに緻密で社会背景がきっちり示されており、全体の理解が進みますので、読んでみることをお勧めします。水上作品には、他にも優れた作品が多くありますが、「五番町夕霧楼」や「越前竹人形」なども読後ズシンときて、いいと思いますよ。       410114124X.09.MZZZZZZZ.jpeg飢餓海峡/水上勉

 殺害されることになるかわいい女、左幸子の不憫さ、本当は心根の優しい冷たい二枚目の三国、伴の人間臭い個性が印象的です。感動のラストは映画史に残る名場面でしょう。それと余談かもしれませんが、音楽の担当は富田勲氏なのですよ。氏はNHK新日本紀行や手塚治のリボンの騎士などTVや映画の主題曲を数多く手がけていますね。ご存知ですか、富田勲っていう音楽家のこと? シンセでホルスト「惑星」を20年くらいも前に録音しているのですよ。

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投稿者 Jazz Blogger T : 10:57 | トラックバック

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