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海の上のピアニスト/ジュゼッペ・トルナトーレ

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2004年09月06日

海の上のピアニスト海の上のピアニスト/ジュゼッペ・トルナトーレ

 こんにちは。今日は1999年の伊・米合作作品ですね。評判がいいということで先日レンタルDVDで借りたものを今先ほど観終えたばかりなのです。今日はこの映画について書くと観る前から決めていましたので、内容に対する評価に関係なく現在書き進めています。まず感想を正直に率直に言わせていただくと、かなり残念でしたというところです。ここにFavoritesとして挙げるのは実は本意ではありません。

 ご存知の通り内容は、客船に生れた天才ピアニストがその船から一歩も出ずに船と共にその生涯を終えるという話を友人であったトランペット奏者の回想という形で語られる物語です。最初はその数奇な生い立ちに興味が惹かれます。そして、挿入エピソード、当時の最大ジャズピアニスト、ジェリー・ロール(・モートン)とピアノ対決したり、折角録音したレコードを初恋の女性に渡せず壊してゴミ箱に放る、など前半1時間くらいは面白く見せてくれます。ただ、後半、なぜか船から降りないというその理由と、最後に爆弾とともに吹っ飛ぶことを選択するというところがちょっと無理があるような気がして私の中ではトーンダウンしてしまいました。陸に降りることを一度は決断してタラップの半分まで下るのですがそこで思い直して引き返すというシーンと、友人にその時の心境を語るその説明にちょっと魅力半減となるのでした。
 船の中から出ないこと、そこにもっと哲学がほしかった。死を賭してまで船を離れないその志にはほんとに敬意を表したいです。が、もっと深い何かを期待していたのですよ、死を持ち出すからには。それが、陸では選択肢が多すぎる?道も、家も、女性も。ピアノは88鍵盤その有限性がよいと。それは当たり前で、そりゃ好き嫌いの世界、あまりに個人的な理由じゃないですか。それはあなたの生き方であって、そこに固執するなら、しょうがない、じゃあね、という感じですよ。まわりの環境があなたをそうさせたのであって、それを越えることに自己飛翔がありドラマが生れるのじゃないですか。船中という閉鎖空間について陸との差異をもっと普遍化できなかったのかなあ、と。
 エンリオ・モリコーネの音楽もいいですし、主演のティム・ロスもピアノを本当に弾けるっぽいところがいいですよ。ただ、その脚本がちょっと惜しいですね。折角の大作なのにもうちょっと納得できる感動がほしかったなあ、というところです。以上。

投稿者 Jazz Blogger T : 10:56 | トラックバック

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