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エントリ内容の一覧
ルービンシュタイン/ショパン・マズルカ集
2008年10月17日
ルービンシュタイン/ショパン・マズルカ集
今日はクラシックからショパンのマズルカを聞いています。ショパンのピアノ曲には綺麗なものが多く日常的に聞く機会も多いですね。その中でマズルカはショパンの故国ポーランドの民族的な舞曲で、ショパンらしい独特の世界が魅力ですね。アルトゥール・ルービンシュタインのマズルカ演奏はオーソドックスで好きです。
中学生の頃からショパンは大好きでした。夜想曲、ワルツ、練習曲、バラード、前奏曲、マズルカ、ポロネーズなどのジャンルがあって、本当に素敵な曲がたくさんありますね。私にとって数あるショパンのピアノ音楽の中で特に好きな曲を挙げるとすれば、それはマズルカ13番イ短調作品17-4と前奏曲4番ホ短調作品28-4の2つです。いずれも物悲しい旋律の中に限りない美がひっそりと息づいているそんな感じの曲なのです。
ショパンの音楽の中でマズルカは特別なものですね。ポーランドの独特のリズムのワルツ総称。クヤーヴィヤク、 マズル、オベレクと分類されて順にテンポが速くなってゆきます。13番イ短調作品17-4は不思議な和音で始まり不思議な和音で終わるとても印象的な曲調の典型的なクヤーヴィヤクです。酔っ払いのユダヤ人の嘆きと金持ちの結婚式の行列を描いたという説があるそうです。
マズルカ13番イ短調に初めて出会ったのは高校1年くらいの時でした。FM-NHK『大作曲家の時間』という休日の午前にやっている番組があって、その年は半年以上に渡って毎週ショパンを1時間特集しているのでした。毎週聞いて紹介される曲をせっせと自分のテープレコーダーに録音しておりました。間違いなくルービンシュタインの演奏だと思うのですが、13番作品17-4を初めて聞いて感激してそれ以来ずっと心に残っています。その番組では多くの曲、しかも決定的な名演奏を紹介していてとても印象に残っています。
レコードで買ったのは大学に入ってからです。第1集と第2集に分かれていて私は第1集のみを持っています。ピアニストのアルトゥール・ルービンシュタインは大変に著名なロシアの巨人ですが、15歳下のホロヴィッツの活躍に刺激を受けて50歳近くになって研鑽を積んだとのことで、本録音はそのすぐ後のものだそうです。私はルービンシュタインのノクターン集もたまに聞きますがやはり円熟味のある好ましい演奏です。24歳年下の妻とともに幸せな家庭人であったとのこと。
あと、このマズルカ13番イ短調は映画『戦場のピアニスト』でも使われていましたね。あまり一般には聞かない曲なので映画の中で突然に出会って驚きつつも嬉しく思いました。曲調があまりに暗すぎるのですね。でも私にとってはショパンのマズルカといえばこの曲なのです。
思い入れのある13番イ短調作品17-4のことばかり書いてしまいましたが、その他にも魅力的な曲がもちろん多くあります。5番変ロ長調作品7-1、17番変ロ短調作品24-4、25番ロ短調作品33-4などは愛らしいメロディで誰しも一度は聞いたことのある著名な曲ですね。
iTunes Music Store では試聴も購入(ダウンロード)も可能です。
ルービンシュタイン/ショパン・マズルカ集 →
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投稿者 mf5w : 17:12
マルタ・アルゲリッチ/ハイドン・ピアノ協奏曲ニ長調
2008年10月06日
マルタ・アルゲリッチ/ハイドン・ピアノ協奏曲ニ長調
今日はここ数年来お気に入りのピアノ協奏曲をご紹介しましょう。ハイドンのピアノ協奏曲11番ニ長調。淡白で透明な限りなく美しい音楽。アルゲリッチのピアノは天上の音楽のように至高の高みを示しています。マルタ・アルゲリッチ(p)、イェルク・フェルバー指揮ハイルブロン・ヴュルテンベルク室内管弦楽団、1993年1月ルートヴィヒスブルク録音。
ピアノ協奏曲といえばやはりモーツァルトが真っ先に来るのですが、ベートーベンはじめシューマン、チャイコフスキー、グリーク、ショパン、ラフマニノフらの有名なものが来て、さらにこのハイドンの本作が別格の存在として私の中にはあります。
ハイドンの交響曲はあまり聞く機会がありませんが、ピアノ・ソナタと本作の協奏曲は好みになります。あっさり淡白な味わいなんです。じっくり聞き込まないとなかなかその良さが分らない薄味なのですね。でもその微妙な味覚が時に異様に鋭敏にキラ星のごとく光輝いてくることがあるものなのです。
第1楽章は軽やかな弦による主題の提示から始まります。陽光ふりそそぐ素敵な朝のイメージです。さあ今日も元気な一日のスタート。ピアノが同じメロディを奏して巧みな変奏を繰り返しながら弦楽器と一体となりながら調和ある音楽へと昇華してゆきます。
第2楽章は落ち着いた雰囲気で気品のあるメロディの主題が弦楽器により紹介され、引き続いてピアノによる同メロディのより詳しい記述。優しくて麗しく端正な曲想です。弦との会話を交換しつつ印象的な主題メロディが次々に修飾されながら展開されてゆきます。後半ピアノによる美しいカデンツァで高みに達してあるプラトーを迎えます。その美の佇まいが極めて静かで透明で清澄なのです。
第3楽章はハイドンらしい愛嬌のある主題が足早に走り去ってゆきます。気が付けばいつのまにか終っています。
モーツァルトも結構に淡白で白身魚で言えば鯛や平目などの高級魚なのでしょうが、こちらハイドンはもっと淡白な味わいでカレイやタラのように微妙に脂が旨い繊細な感じ。心静かにひっそりと一人で味わいたい音楽です。
アルゲリッチのピアノにこんなに繊細な表現力があったとは意外でした。このハイドンの協奏曲をアルゲリッチは1980年にも録音しており、私はまだ聞いていませんがそちらも定評があるようですね。また、本CDに含まれるショクタコーヴィチのピアノ協奏曲についてはコメントを差し控えます。
1.ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲 第1番 ハ短調 作品35
第1楽章:Allegro moderato-Allegro(6:03)
2.第2楽章:Lento-Largo-attacca:(8:21)
3.第3楽章:Moderato-attacca:(1:41)
4.第4楽章:Allegro con brio-Presto-Allegretto poco moder(6:39)
5.ハイドン:ピアノ協奏曲 ニ長調 HOB.XVIII:11
第1楽章:Vivace(7:26)
6.第2楽章:Un poco Adagio(7:20)
7.第3楽章:Rondo all’Ungarese.Allegro assai(4:02)
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投稿者 mf5w : 22:12
クララ・ハスキル/モーツァルト・ピアノ協奏曲23番
2008年10月02日
クララ・ハスキル/モーツァルト・ピアノ協奏曲23番
今日はモーツァルトのピアノ協奏曲23番イ長調K488です。クララ・ハスキルがウィーン・フィルと共演する20番と23番がカップリングされたフィリップスのレコードは学生時代からの愛聴盤。CDでの発売はないようですので、23番のみ収録された本CDを掲げています。クララ・ハスキル(p)、パウル・ザッヒャー指揮ウィーン交響楽団、1954年10月録音、Philips。
モーツァルトはたまに思い出したように聞きますが、ピアノ協奏曲が一番のお好みです。最近はピアノ・ソナタも聞くようになりました。モーツァルトのその淡白な味わいはジャズなどの饒舌で複雑な音楽に辟易したときに聞くと一種の清涼剤のように心と身体にすっと入り込んできて不要なものを洗い流してくれるかのようです。
よく聞くのは23番、20番、19番、13番、27番、26番、21番など。モーツァルトのピアノ協奏曲はいずれも3つの楽章からなり、荘重で華麗な第1楽章、優しく美しい第2楽章、軽やかで溌剌たる第3楽章。ポピュラーになるくらいにメロディが印象的な第2楽章がやはり分りやすく魅力的ですね。
好んで聞く演奏はクララ・ハスキルのものが中心です。ハスキルの演奏はまろやかでしなやか、モーツァルトの微妙な陰翳や明朗さをシンプルかつ詩的に表現してくれます。録音が古いので音質がいま一歩という難がありますが、それを余すに足る興趣があると思うのですね。
この23番イ長調は魅惑のメロディが満載の分りやすい音楽です。第1楽章アレグロの主題はモーツァルトらしい生命力と快活さを感じさせる素敵なメロディ。ピアノによって次々にいろいろな変奏が施されて高みに登ってゆく感覚が素晴らしい。ジャズの優れたインプロヴィゼーションを聞いているようです。
第2楽章アダージョは第1楽章とは対照的に憂いに満ちた物悲しい主題メロディ。それがまた映画音楽のようにとても印象深いものです。ちょっと俗っぽい感じは否めないけれど、馴染みやすくて繰り返し聞きたくなるのですね。ピアノのみで静かに始まり、弦楽器が重なってゆくにつれ悲しさが倍増してゆきます。若い時にこんな音楽を聞いていったい何を考えていたのだろうとふと昔を懐かしくなりますね。
第3楽章はまた対照的にとっても元気です。跳ねるような主題が印象的。悲しみを背負いつつも力強く遠くへ走り去ってゆくようなイメーシです。ピアノは縦横に装飾的に動き回りつつある収束に向かってゆくようです。元のテーマ・メロディに舞い戻ることで落ち着きとバランスを取り戻すと、曲はあっけなく終わります。
フィリップスに1950年代に残されたクララ・ハスキルのモーツァルトのピアノ協奏曲やソナタは私にとって大切な宝物になっています。悩みや時を忘れてひと時の安らぎに心身を委ねることができるせいかもしれません。
1. ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488 第1楽章:Allegro <モノラル録音>
2. ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488 第2楽章:Adagio <モノラル録音>
3. ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488 第3楽章:Allegro assai <モノラル録音>
4. ピアノ協奏曲 第9番 変ホ長調 K.271≪ジュノム≫ 第1楽章:Allegro <モノラル録音>
5. ピアノ協奏曲 第9番 変ホ長調 K.271≪ジュノム≫ 第2楽章:Andantino <モノラル録音>
6. ピアノ協奏曲 第9番 変ホ長調 K.271≪ジュノム≫ 第3楽章:Rondeau (Presto) <モノラル録音>
7. コンサート・ロンド イ長調 K.386 <モノラル録音>
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クララ・ハスキル Philips歴史的名盤シリーズ → クララ・ハスキル Philips
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投稿者 mf5w : 11:24
アナトリー・ヴェデルニコフ/ロシア・ピアニズム名盤選10
2008年09月29日
Anatoly Vedernikov / ロシア・ピアニズム名盤選10
今日はスクリャ-ビンの「24の前奏曲」作品11なのですね。スクリャービンは私のお気に入りの作曲家。この「24の前奏曲」は派手な美しさはないもののいぶし銀のような透徹した美意識に貫かれた愛すべき味わい深いピアノ音楽。ヴェデルニコフはスクリャービンの清澄な音宇宙を淡白ながらピュアに理想的に奏でていると思います。
ショパンの「24の前奏曲」(作品28、1838年)の方が大変に有名ですが、私はスクリャービンのこちら「24の前奏曲」(作品11、1897年)の方が圧倒的に好みです。若きスクリャービン(主に23~24歳時に作曲)のこの音楽には瑞々しい才能が光輝いています。耽美的な右手の魅惑の主題とともに、対比的に左手が別の音楽のように自由に動きながら音楽全体に深みと厚みを与えています。
例えば、1曲目ハ長調の短いパッセージに耳を傾けると清らかな小川のせせらぎのような美しい響きにまず感激します。2曲目イ短調も憂いのある愛らしい小品。5曲目ニ長調も沈静したメロディを持つ魅力的な楽想。8曲目嬰へ短調はやはり奥行きのある劇的な楽想。9曲目ホ長調も静かな憂いを含む音楽。11曲目ロ短調の何とも甘美で美しい曲想。いずれも左手の生きいきした表情がピアノ曲とは思えない広がりある音楽に仕立てています。
また、13曲目変ト長調ではロシア的なロマンチシズムが感じられる曲想が印象的です。後半は、名曲の練習曲8-12や練習曲42-5に聞かれる流麗なダイナミズムを持った曲が何曲かあります。14、18、19、20、24曲目らは、それぞれに個性的な楽想を示しています。21曲目変ロ長調も美しい音楽。
スクリャービンのピアノ音楽には、それぞれに、ロシア的な憂いのある深い音楽、情念を感じさせるダイナミックな音楽、清らかな愛らしい音楽があり、それらは美しいメロディを基調としながら、自在な左手のサポートによりピアノ曲とは思えない重厚な世界を醸しています。
演奏者のヴェデルニコフは完璧な指使いとペダルのテクニックでもってスクリャービンの透徹した美学を淡々と詩的に奏でています。録音状態が存外によいのも嬉しい限りです。スクリャービンのピアノ曲を十分に堪能するには、ピアノ音の低音から高音までその響きや共鳴が十分に伝えられる必要がありますが、本作品はそれを高いレベルで満たしていると思います。
アナトリー・ヴェデルニコフ(1920-1993)はロシアを代表する名ピアニスト。ロシアが満州に建設した都市ハルビンで生まれ、10歳でデビューし、15歳の時に日本に1年ほど滞在して、翌年、両親と共にモスクワに帰国してモスクワ音楽院入学。直後に両親が静粛により逮捕され、父は処刑され母は強制収容所送りという悲劇を体験する。その後、ヴェデルニコフは才能を認められ、著名ピアニスト及び音楽大学の教授となるものの諸事情から60台になるまで外国公演を行なう事が許されず、ソ連崩壊後の1993年日本を訪れようとした矢先に急死することになります。
ロシア・ピアニズム名盤選シリーズは圧倒的な力量を誇りながら西欧世界に知られなかったロシアの巨匠ピアニストたちの貴重な録音が記録されています。以前紹介したウラジミール・ソロニツキーの演奏も多数含まれています。尚、本CDには、紹介しませんでしたが、スクリャービン以外に2曲が含まれています。
1. 24の前奏曲op.11(スクリャービン)
2. ピアノ・ソナタ第5番ハ長調op.135(38)(プロコフィエフ)
3. ペトルーシュカ組曲(ストラヴィンスキー/ヴェデルニコフ編)
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ アナトリー・ヴェデルニコフ / ロシア・ピアニズム名盤選10
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投稿者 mf5w : 16:28
ヴァレリー・アファナシエフ/ブラームス後期ピアノ作品集
2008年09月18日
Valery Afanassiev / ブラームス後期ピアノ作品集
実は最近クラシック音楽を聞く機会が増えていまして、ブラームスの音楽はあまり好みではなかったのですが、本作はじめ晩年の飾り気のないピアノ曲にはいつも感銘を受けています。ピアニストのヴァレリー・アファナシエフ氏は1947年ロシア生れ、74年ベルギー亡命。一音一音を慈しむようなゆっくりした独特の演奏スタイルが人気です。本作は1992年のレコード・アカデミー賞受賞作品。
もう昨年のことになりますが12月7日に東京オペラシティでアファナシエフ氏のピアノ・リサイタルを聴きました。内容はオール・シューマン・プログラムと題してシューマンの3作品「子供の情景 op.15」、「3つの幻想的小曲 0p.111」、「交響的練習曲 op13」。いずれも斬新な演奏でしたが、最後の交響的練習曲が特に印象深い演奏で感激した記憶が鮮明に残っています。高音のピアノの音がいまだに耳にこびりついているようです。ホロビッツの演奏で聞きなれている子供の情景はかなり違和感のあるものでしたね。そして、ご一緒した女友達に今日ご紹介するこのCDをプレゼントしたのでした。
さて、本作はアファナシエフさんの深い情念が宿る重みのある音楽なのです。例えば、印象深い2曲目の作品117-2にはすぐに耳を奪われますが、その悲しくも美しいメロディが生命を持って心に突き刺さってくるのです。暗い哀愁の中に淡白な美がひっそりと息づいています。同様に、3曲目作品117-3では、主題が暗い情念を抱くメロディなのに対し、途中から流れる優しいピアニスティックな副主題はそれとは対照的にとても優しいメロディなのです。
また、作品118-2は典型的なブラームスの優れた作品だと思いますが、やはりそうした悲哀感と優しさに満ちたメロディが交錯する感銘深い演奏です。私はこの種の露骨な旋律には必ずしも心を動かされないはずなのでした。恥ずかしさが先に立つとでも表現すればよいのでしょうか。露骨な旋律だけでなく、優しくいとほしい可愛げのある旋律が配されていることが救いです。
ブラームスの晩年の作品にはそうしたひっそりと佇んでいるような優しさ可愛さがときどきふと垣間見えるのです。私はそうした可憐なイディオムに癒されるのだと思います。アファナシエフの演奏はそうしたブラームスの情念と優しさをともに慈しむように大切に表現しています。秋の静かな夜に、この一見淡白だけれど深く心に響く音楽に耳を傾ける時、想いは千里を駆け巡る。
1~3. 3つの間奏曲op.117-1~3
4~9. 6つのピアノ小品op.118-1~6
10~13. 4つのピアノ小品op.119-1~4
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投稿者 mf5w : 18:37
ウラジミール・ホロヴィッツ/展覧会の絵
2005年04月17日
Vladimir Horowitz/ Pictures at an Exhibition
今日はホロヴィッツのピアノでムソルグスキーの『展覧会の絵』です。昼間山歩きをしながらFMでラベル編曲の同曲(東京フィルハーモニーの2005年2月ライブ演奏)をたまたま聞きまして、それが色彩感のある大変に良い演奏でしたので、今日はこの曲のことを書こうと思い立ったのでした。前から気になっていたホロヴィッツのピアノ・バージョンをここではご紹介したいと思います。1951年のライブ録音。トスカニーニ指揮のチャイコフスキー・ピアノ協奏曲第1番とのカップリングです。
私が中学生の頃に我が家にはじめて家具調の立派なステレオなるものがお目見えしまして、音楽に関心のない父親が子供のために買ってきてくれた記念すべき最初のレコードがイムジチのビバルディ「四季」と小澤征爾指揮シカゴ響の「展覧会の絵」なのでした。ただ最初はB面に入っているブリテン「青少年のための管弦楽入門」の方が分かりやすくて楽しめたことを記憶しています。それに丁度その頃嵌っていたプログレッシブ・ロックっていうのがありまして、その中の著名グループのエマーソン・レイク&パーマー、ELPが同曲をムーグ・シンセサイザーを駆使して演奏したライブ・レコードが出て一挙にこの曲に親近感を抱いたのでした。この「展覧会の絵」はそういう意味で私にとりましてとても馴染みのある曲だったわけで、プロムナードのメロディなどは耳にこびりついているようですね。
それでこのホロヴィッツの演奏です。ご存知の通りムソルグスキーの原曲は実は純然たるピアノ曲でして、モーリス・ラベルが20世紀になってオーケストラ用に編曲したものが現在一般によく知られているものなのですね。ピアノ大好きの私は当然のごとくにピアノによる原曲を聴いてみたいという欲求があり、このホロヴィッツの演奏にすぐに遭遇することになりました。47年のスタジオ録音と51年のライブ録音の主に2種が入手可能です。本アルバムは後者で音質が十分に鑑賞に堪えるものです。
ホロヴィッツのピアノ演奏は、確かに音の魔術師と呼ばれたラベルの手に掛かかるオーケストラ版ほどの色鮮やかさは希薄ではありますが、ピアニスティックで力強く輝きのある見事な演奏だと思います。むしろピアノの方が適していると思える部分が結構にあると思いますね。例えば、カタコンブの詩的な響きやキュートで美しいCon Mortuisのメロディなどはやはりピアノならではと思われますし、サミュエル・ゴーデンバーグなどもピアノの方が面白いですね。チュイルリーや牛車のところもピアノで必要十分かもと思えます。それに、最後を飾る圧巻のキエフの大門などではホロヴィッツのピアノは十分にそのフィナーレの盛大さ、構築美、大地のような重いリズムなどの特徴を伝えることに成功していると思います。
この演奏はホロヴィッツ自身が少し編曲しているとのことですが、ムソルグスキーの原曲の美しさがしみじみとわかる演奏だと思いますね。ムソルグスキーの偉大さを噛み締めます。そういえば「はげ山の一夜」なども実に凄い曲ですよね。それにしましてもホロヴィッツのピアノの力量というのは大したものだと改めて感嘆いたします。ホロヴィッツはこの後80年代になっても素晴らしい演奏を繰り広げましたから半世紀間常にトップに君臨したということですね。本当に息の長い、まさに20世紀を代表するピアニストですね。
あと、このアルバムにはチャイコフスキーのピアノ協奏曲が入っていまして、音質がかなり劣る点が残念です。名指揮者でホロヴィッツの叔父でもあるトスカニーニ指揮の劇的な内容の演奏になっています。もちろんピアノはホロヴィッツですが、これはおまけという感じですね。
1. 展覧会の絵*組曲
作曲 ムソルグスキー
演奏: ホロヴィッツ(ウラジミール)
2. 水辺で
作曲 ムソルグスキー
演奏: ホロヴィッツ(ウラジミール)
3. ピアノ協奏曲第1番変ロ短調
作曲 チャイコフスキー
演奏: NBC交響楽団, ホロヴィッツ(ウラジミール)
指揮 トスカニーニ(アルトゥーロ)
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Vladimir Horowitz/ Pictures at an Exhibition
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投稿者 mf5w : 10:11
カルロス・クライバー/ベートーベン交響曲第5番&7番
2005年04月16日
Carlos Kleiber/ Beethoven Symphony No.5 & No.7
今日はベートーベンの交響曲をクライバー指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で聴いています。ベートーベンの第5番と第7番をカップリングした超お得な一枚です。クライバーの名を轟かせ、未だにこの2曲の最高の演奏と言われる名演です。第5番は1974年、第7番は75年&76年録音。独グラモフォン。
カルロス・クライバーは昨年2004年7月に74才で亡くなっています。残されたCDはその巨匠ぶりからすると意外に少ないように思いますが、ベートーベンの4番や5番、7番は躍動する疾走感が魅力的なクライバーを代表する名演奏ですね。というより現代の最高の名演の一つと言えるようですね。
5番「運命」は中学性の頃より親しみのある曲です。このクライバーとウィーン・フィルの演奏はスピードと緊張感のある若々しい音楽で、そのリズムが生命力があって凄いなと思います。ジャズやロックを聴く感覚で楽しめるところがあります。
それと、7番って結構に名曲なんですよね。「運命」「田園」「合唱」という名が付いているものだけじゃないですよね。奥が深くてふくよかな音楽という印象です。特に第4楽章などは実に素晴らしい。あきの来ない長く楽しめる類の音楽だと思います。4番と7番がこれほど人気になったのもクライバーの名演のおかげなのですよね。
1. 交響曲第5番ハ短調 作品67
第1楽章 Allegro Con Brio
第2楽章 Andante Con Moto
第3楽章 Allegro
第4楽章 Allegro
2. 交響曲第7番イ長調 作品92
第1楽章 Poco Sostenuto- Vivace
第2楽章 Allegretto
第3楽章 Presto
第4楽章 Allegro Con Brio
amazon.comでは試聴可能です。→Carlos Kleiber/ Beethoven Symphony No.5 & No.7
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ クライバー/ベートーベン交響曲No.5 & No.7
SACD対応のハイブリッド仕様はこちら。→ 同上 SACD
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投稿者 mf5w : 10:12
ゲルギエフ/チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」
2005年03月12日
V.Gergiev/Tchaikovsky Symphony No.6
今日は話題の指揮者ゲルギエフのチャイコフスキー「悲愴」のことを書いてみたいと思います。チャイコフスキーの交響曲や管弦楽曲はこれまで結構好んで聞いていますが、このゲルギエフの演奏はロシアの大地を思わせるようなスケールとエネルギーを感じさせる凄い演奏です。キーロフ歌劇場管弦楽団、1997年7月録音。幻想序曲「ロメオとジュリエット」も収録。
チャイコフスキーの音楽は美しいメロディと豊かな情感があって取っ付きがよいですから、ポピュラーを聞くような感覚で中学生の頃から長く付き合ってきました。交響曲4~6番やバレエ音楽、管弦楽曲などは日常的に好んで聞いています。その中でこのゲルギエフという指揮者のこのチャイコフスキー悲愴は最近特によく聴いています。
ゲルギエフは1953年生まれ1988年よりキーロフ・オペラの音楽監督となり近年はウィーン・フィルの主席指揮者として現在最も活躍している指揮者の一人です。昨年2004年11月にはウィーン・フィルとの来日公演を果たしたばかりでご存知の方も多いと思います。
チャイコフスキーの音楽といいますと通常は繊細な色彩感と浪漫的な香りがその魅力の中心になるのですが、このゲルギエフとキーロフ劇場管の演奏にはさらに生命力に満ち溢れた力強さとパッションが感じられます。オーケストラが一丸となって壮大な構造物を築き上げるようなダイナミズムといったものを感じるのです。チャイコフスキーの音楽に意外な魅力を感じ取ることができるというわけで、音楽を聞く楽しみのひとつはこういう予想外の遭遇にあるのかもしれません。
まず第1楽章でその異様なほどのエネルギーを感じ取ることができます。劇的な中に美しい第2主題が荘厳な輝きを放っています。第2楽章のロシア的な濃厚で陰鬱な雰囲気もいいですが、第3楽章スケルツォの圧倒的な躍動感には脱帽です。第4楽章の深い闇の底を思わせる悲しみにもやはり内に秘めた膨大な力がみなぎっていることを感じます。全体を通じて一環して持続する緊張とやり場のなり情念の発露とを感じさせます。そして聞き終わったあとに残る心地よい余韻はまさに満足な芸術体験でのみ得られる充足感に違いありません。
同時に収録されている幻想序曲「ロメオとジュリエット」は私の大好きな曲です。こちらも同様に素晴らしい内容です。魂の声を聞くような劇的で美しい音楽です。これは病みつきになる類の音楽ですね。
チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」
第1楽章 アダージョ~アレグロ・ノン・トロッポ
第2楽章 アレグロ・コン・グラツィア
第3楽章 アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ
第4楽章 アダージョ・ラメント
チャイコフスキー幻想序曲「ロメオとジュリエット」
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ V.Gergiev/Tchaikovsky Symphony No.6
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投稿者 mf5w : 10:14
マルタ・アルゲリッチ/The LEGENDARY 1965 RECORDING
2005年02月24日
Martha Argerich / Chopin: Piano Works: Martha Argerich The LEGENDARY 1965 RECORDING
今日はマルタ・アルゲリッチです。やはりこの人のピアノが好きです。『The LEGENDARY 1965 RECORDING』。ショパン・コンクールで優勝した1965年に吹き込まれそのまま34年間封印されていたという録音。その内容はアルゲリチの数多い名品の中でも屈指の素晴らしい内容です。みずみずしい感性、ほとばしる情熱、流麗なピアニズム、これこそ芸術、私はアルゲリッチの音楽に今宵は酔いしれます。
昨日のマルサさんの欲求不満を払拭するにはこのアルゲリッチさんくらいのエネルギーが必要でした。それも名盤の誉れ高く、聴くたびにいつも私の心を強く打ち、内なる魂を呼び覚ましてくれる『The LEGENDARY 1965 RECORDING』です。
このアルバムではショパンの愛すべき音楽が全く違う世界観として映し出されています。確かに劇的すぎて節操がないのですが自在の華麗さがそこに芸術の極みを感じさせ、あるいは一種の潔さにまで昇華しうるという驚くべきピアニズムがあるのです。そう、そのピアニズムは、さらには、ショパンの音楽に完全に同化して自分の魂の声として歌いきる情念をもはらんでいるかのようです。
よい例えではないかもしれませんが、ここにはモダン・ジャズ名人の素晴らしいインプロヴィゼーションに現れる官能と同種の音楽的な高みを見出すことができます。クラシックの枠を越えたいかにも自由な即興音楽、そんな自然な歌心が伝わってくるのですね。
1~4のピアノ・ソナタ第3番がとにかく素晴らしいです。完璧なテクニック、流れるような音のせせらぎ、心が洗われます。9.スケルツォ第3番や10.英雄ポロネーズもダイナミックなだけでなく疾風のごとく潔い音楽です。
1.Piano Sonata No.3 In B Minor, Op.58: I. Allegro maetoso
2.Piano Sonata No.3 In B Minor, Op.58: II. Scherzo: Molto vivace
3.Piano Sonata No.3 In B Minor, Op.58: III. Largo
4.Piano Sonata No.3 In B Minor, Op.58: IV. Finale: Presto, non tanto
5.Mazurka No.36 In A Minor, Op.59 No.1
6.Mazurka No.37 In A-flat, Op.59 No.2
7.Mazurka No.38 In F-sharp Minor, Op.59 No.3
8.Nocturne No.4 In F, Op.15 No.1
9.Scherzo No.3 In C-sharp Minor, Op.39
10.Polonaise No.6 In A-flat, Op.53
amazon.co.jpでは試聴も可能です。→ The LEGENDARY 1965 RECORDING
昨日のマルサさんの記事で何とランクが上りましたですね。私と同じく微妙なんですね皆さんも♪ とりあえず感謝ですルンルン。 →人気ブログランキング
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投稿者 mf5w : 10:15
ソフロニツキー/スクリャービン・リサイタル
2005年02月04日
Vladimir Sofronitsky / Scriabin Recital
今日はクラシックからウラジーミル・ソフロニツキーです。「ロシア・ピアニズム名盤選」からの一枚です。ソフロニツキー(1901~61)は日本でこそ知名度は低いものの、ロシアでは1961年の死後40年を経て今なおカリスマ的人気を誇る伝説のピアニスト。本アルバムはソフロニツキーの最も得意としたスクリャービンの作品集2枚組CDです。1959&60年録音。
ソフロニツキーは演奏活動が国内に限られていたために、ロシア以外では「幻のピアニスト」として謎に包まれつつ、一部の熱狂的な崇拝者たちの間でその名前が語り継がれてきた存在だったようです。ソ連崩壊後、西側でもその録音がリリースされるようになりましたが、日本で最初に紹介されたのは「ソフロニツキー大全集」(CD30枚)というアルバムで1996年の発売です。本作はその5枚からピックアップして再発された2枚組アルバムということになります。
本アルバムはスタジオ録音とライブ録音でソフロニツキー芸術の最高到達点と呼ぶべき圧倒的な名演奏と言われています。音質もそう悪くはありません。収録曲には、練習曲op.8、練習曲op.42、前奏曲op11、13、16、詩曲op.32、op.52などのお馴染みの名曲が並びます。私は、最近このCDを入手したのですが本当に素晴らしい演奏だと思います。まさに病み付きになるような身体に悪い類の音楽です。
詩曲op.32-1の臭い立つような美しい響きには魂が打ち震えます。練習曲op.8-12や同op.42-5など流麗な曲での力強さとピアニズムの絶妙のバランス感覚が凄い。それに、アルバムのページop.45-1や練習曲op.8-8、11での官能的な可憐さには唸らされます。いずれの曲にもエクスタシーや官能の美学が込められているのを感じ取れる演奏だと思います。スクリャービンを堪能するには最高の作品の一つに違いありません。
Voxレーベルのミカエル・ポンティの演奏でいずれも聴ける内容ですが、全く異なる曲と思えるほどにソフロニツキーの演奏には何か特殊なもの、そうスクリャービンが神秘和声で伝えたかった世界を直に肌で触れるように感じることができるとでも言えるのでしょうか。また、ホロビッツの華麗なピアニズムに彩られたスクリャービンの魅力とはまた違った、もっと奥深いもの、そうロシア的な濃厚なロマンと閉ざされた闇とが表現されているように思います。スクリャービンの本質はこちらソフロニツキーの方がより近い距離で捉えられているのかもしれません。
op.が50番を越える辺りから神秘和音を多用した難解な音楽になってゆきますが、このソフロニツキーの演奏で聴きますとそれほどの違和感を感じさせません。説得力があるというのでしょうか。
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今日は音楽ジャンルで何位になっているでしょうか。
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投稿者 mf5w : 10:16
マルタ・アルゲリッチ/デビュー・リサイタル
2005年01月14日
Martha Argerich/ Debut Recital
今日はマルタ・アルゲリッチのデビュー盤をご紹介します。ご存知の方も多いと思いますがアルゲリッチは間違いなく20世紀最高の女流ピアニストでしょう。情熱的で奔放、流麗な疾走感、それに完璧鉄壁のテクニック。デビュー・リサイタルと題された本アルバムは1960年というアルゲリッチ19才時の輝かしい記念すべき、まるで才能が音を立ててほとばしり出るような録音です。
マルタ・アルゲリッチは私の大好きなピアニストです。クラシック・ピアニストではもう一人ホロヴィッツも同じくらいに好みです。ともに感性に直接訴えるピアニズムが魅力です。アルゲリッチの演奏では、ラヴェル、ショパン、リスト、バッハ等を好んで聴きます。
マルタ・アルゲリッチが5年に一度に開かれるショパン・コンク-ルで優勝するのが1965年です。本作はその5年も前の作品です。すでに成熟の域にあるピアノであったことがよくわかります。16才でブゾーニ国際コンクール、ジュネーヴ国際コンクールで優勝という輝かしい経歴がありました。
本作は実に凄いアルバムです。エネルギーが満ちています。若き血潮が溢れ出るというやつです。それに情念がびしびし伝わってくる演奏です。下品というそしりを受けかねない類ですが、コントロールされたピアニズムが芸術性を保つに十分です。身に応える演奏で、真剣に聴き入りますと身体を悪くするような悪魔的とさえいえるような音楽です。
アルゲリッチには他にも洗練された名盤、私にとっての愛聴盤など数多くありますが、やはり本作をまず第一にもってこなければならないと思います。アルゲリッチの原点があります。音楽ジャンルにとらわれず音楽好きでピアノの好きな方なら、この音楽美、芸術美に強く打たれることでしょう。
1.ショパン スケルツォ第3番嬰ハ短調
2.ブラームス 2つのラプソディ1番ロ短調
3.ブラームス 2つのラプソディ2番ト短調
4.プロコフィエフ トッカータ
5.ラヴェル 水の戯れ
6.ショパン 舟歌
7.リスト ハンガリー狂詩曲第6番変ニ長調
8.リスト ピアノ・ソナタ ロ短調
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投稿者 mf5w : 21:16
ベートーヴェン交響曲第9番/フルトヴェングラー指揮バイロイト祝祭管弦楽団
2004年12月30日
Beethoven: Symphony no. 9 / Furtwangler
こんにちは。今日はベートーヴェンの弟9です。歴史的名演と言われるフルトヴェングラー指揮バイロイト祝祭管弦楽団1951年録音のレコードを学生時代から愛聴しています。特にその第3楽章(アダージョ・モルト・エ・カンタービレ)が大好きで繰り返し聴いてきました。
ベートーヴェンは日頃それほど多く聴くことはないのですが、交響曲やピアノ協奏曲、ピアノ・ソナタなどをたまに想い出したように手持ちの限られたCDやレコードで聴きます。あとは、ラジオやTVなどで触れる程度です。ベートーヴェンの持つ叙情的な曲でのおおらかでまろやかな音楽美を私は大変好んでいます。この第9の第3楽章はベートーヴェンの叙情的メロディとその構築美の一面を示す最も典型的なものだと思います。
このフルトヴェングラーの演奏はいろいろ論じられているようですが名演であることに間違いがありません。この演奏以外ほとんど知らない私には論じる資格はありませんが、第3楽章はゆっくり目の演奏で弦が流麗で統一感がある、といった感じを持ちます。この楽章は全体で20分くらいの演奏ですが、前の10分くらいはスローで、後半少しづつアップテンポとなります。この前半部分の弦主体のアダージョが何とも素晴らしくて私にとっては天上の音楽という印象です。2つの主題がともに美しいのです。
ベートーヴェン時代のこの種の音楽の特徴は、一つの楽章に主題と副主題の2つくらいのモチーフを設定し、そのモチーフに少しずつ変化をつけながら、すなわち変奏を繰り返しながら、徐々に盛り上げてゆくパターンですね。美しいメロディが形を変えながら聞き手の内奥に染み渡ってきまして、より高い境地の感動にいざなってゆくという感じです。
ジャズで言いますと、主題のメロディを崩しながらインプロヴィゼーションという即興演奏に持ち込みそこで聞き手の心を掴むのですね。それは形式的に楽譜がきちんとあるかないかという点の違いであって、主題の変奏部分とジャズ・インプロヴィゼーションというのはその目的とするところは共通しているように思えるのですが。モーツァルトのピアノ協奏曲などで聴けるピアノ演奏というのはまさにジャズのインプロヴィゼーションに相通じるものを感じます。
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投稿者 mf5w : 10:18
小山実稚恵/ラヴェル作品集
2004年12月18日
小山実稚恵/ラヴェル作品集
こんにちは。今日は日本人ピアニスト小山実稚恵さんのラヴェル作品集です。ご存知の通り、小山実稚恵さんは1982年チャイコフスキーコンクール3位、1985年ショパンコンクール4位入賞という輝かしい経歴を持つ、ショパン、リスト、ラフマニノフ、スクリャービン、ラヴェルらのロマン派ピアノ等を得意とする現代日本を代表する女流ピアニストです。1994年録音。
このラヴェル集は、小山実稚恵さんの豊かな音楽性と鮮やかなテクニックが結実した素敵なアルバムです。私にとって最近繰り返し聴いている大好きなアルバムです。どうしてもアルゲリッチと比較してしまいますが、アルゲリッチの奔放な演奏に決して引けをとらない自由さや、確かな感性とピアニズムを感じる素晴らしい一枚だと思います。
1.ラ・ヴァルス
2.亡き王女のためのパヴァーヌ
3.道化師の朝の歌
4.水の戯れ
5.ソナチネ
6.夜のガスパール
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投稿者 mf5w : 10:19
ラヴェル作品集
2004年11月26日
ラヴェル:ボレロ / ラ・ヴァルス / ピアノ協奏曲 / ツィガーヌ (2CD)
こんにちは。今日はお買い得のラヴェル作品集CDをご紹介したいと思います。ラヴェル主要曲の代表的な名演を収めた2枚組です。オムニバス盤ではありますが、マルタ・アルゲリッチによる"夜のガスパール"が収録されていましたので、あえてご紹介いたします。
収録曲は以下の通りです。①ボレロ(カラヤン指揮ベルリンフィル)、②ラ・ヴァルス(ブーレーズ指揮ベルリンフィル)、③ピアノ協奏曲ト長調(アルゲリッチ・ピアノ、アバド指揮ロンドンフィル)、④スペイン狂詩曲(小澤征爾指揮ボストン響)、⑤水の戯れ(アルゲリッチ・ピアノ)、⑥亡き王女のためのパヴァーヌ(小澤征爾指揮ボストン響)、⑦ダフニスとクロエ(アバド指揮ボストン響)、⑧夜のガスパール(アルゲリッチ・ピアノ)、⑨ピアノ3重奏曲(ボザールトリオ)、⑩ツィガーヌ(アッカルド・ヴァイオリン、アバド指揮ロンドンフィル)。
まさに名曲名演揃いです。私のようなラヴェル好きにとっては堪らないCDです。②ラ・ヴァルスや⑦ダフニスとクロエなどがお勧めです。ラ・ヴァルスはそのエスプリの雰囲気が仏的なエレガンスを感じさせますね。ダフニスとクロエはバレエ音楽なのですがその曲調の趣きと佇まいに一級の品格を感じます。勿論、アルゲリッチの③ピアノ協奏曲、⑤水の戯れ、⑧夜のガスパールはいずれも耳に入れておくべき超お勧め演奏です。私にとってのラヴェルの魅力は、どちらかといいますと定評ある管弦楽曲よりも、ピアノ曲でのガラス細工のような精巧な構築美や不思議だけど独特の美意識に裏付けられた和声にあります。
私ラヴェルが好きなものですからレコードを結構多数所有していますがCDになってないものやCDジャケット写真が入手できないものが多いのですね。愛聴盤のアルゲリッチの夜のガスパールもジャケット写真がないため本サイトでの紹介をためらっています。このCDには他にソナチネや高雅で感傷的なワルツが収められていまして共に素晴らしい演奏です。管弦楽曲もクリュイタンス指揮パリ音楽院管のお洒落な名演や、ダフニスとクロエも全曲版などをご紹介したいところですが同理由です。
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投稿者 mf5w : 10:20
キャスリーン・バトル/モーツァルト・アリア集
2004年11月20日
Kathleen Battle / Sings Mozart
こんにちは。今日はキャスリーン・バトルです。クラシックの声楽はまあほとんど聴く機会が少ないのですが今後はもう少し攻めてみたい領域です。例外的なアルバムが今日ご紹介するバトルのモーツァルト・アリア集です。パーソネルは、キャスリーン・バトル(ソプラノ)、アンドレ・プレヴィン指揮、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団。1985年録音。キャスリーン・バトルは1948年米オハイオ州生れ。
キャスリーン・バトルは80年代に入って急速に頭角を現し、この85年頃は最も注目される若手として大人気の気鋭のソプラノ歌手でした。ウィーン・フィルのニュー・イヤー・コンサートに招待されたのもすぐ後の90年頃だと思います。このEMIに録音されたモーツァルト・アリア集はバトルの初期の代表的な名演と言われており、その透き通ったクリーンでまろやかな歌声はモーツァルトの美しいメロディーを存分に引き立たせているようです。
まず1曲目から麗しげな曲調と情感を抑えた優しい歌声に魅了されてしまいます。最初の歌いだしから思わず心の中で拍手喝采をしたくなります。素晴らしい。ほんと素晴らしい。こういう形の音楽美ってのもあるのだなという思いです。明らかに齢を重ねるごとにこのキャスリーン・バトルの歌声が内奥深くに染み込んで来るようになってきました。2~4曲目も同様に素晴らしいものです。いつか死を迎える時はこういう音楽を聴きながら死ねたらよいなと少しまじに考えています。
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投稿者 mf5w : 10:21
ポリーニ/ショパン24の前奏曲
2004年09月07日
ショパン24の前奏曲/マウリツィオ・ポリーニ
こんにちは。今日はショパンです。中学生の頃からショパンを数多く聴いてきました。お気に入り曲はたくさんあります。その中でとりあえずまず1枚選ぶとすれば、ポリーニの24の前奏曲がしっくりくるように思います。この曲は、他にアルゲリッチの演奏やアシュケナージのものもよく聴いていましたが、ポリーニの硬質で機械のように完璧な演奏を好んで繰り返し聴いてきました。ショパンの良さをこのポリーニの演奏で教えてもらったということです。
ポリーニのショパンでは12の練習曲もよいですね。70年代初の同時期の録音ですが、やはりカチッとした完全な演奏です。24前奏曲もそうですが、この中の「別れの曲」や「革命」などのおなじみの曲も、私にとってはポリーニの演奏がスタンダードになっています。生れたヒヨコがすぐ身近のものを親と思うように。アルゲリッチやホロビッツの良さを理解するのはずっと後になってからでした。
24前奏曲の第4曲ホ短調は悲しい調べですが、美しい曲ですね。漆黒の闇に咲く一輪の花、おぼろげに輝いています。よく見れば限りなく美しい。マズルカにもいくつかこの種のものがありますね。
この第4曲をジャズでもジェリー・マリガンが取り上げています。ナイト・ライツというCDです。この演奏は、昔、ジャズ評論家の油井正一さんのFM番組アスペクト・イン・ジャズのテーマ音楽でしたね。渋い演奏です。バリトンサックスの音色が深夜にじんわりとやって来くるのですよね。ご存知の方は結構よいお年かもしれませんね(笑)。
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ショパン24の前奏曲/マウリツィオ・ポリーニ
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投稿者 mf5w : 10:22
フランソワ/ラヴェル 夜のガスパール
2004年09月04日
ラヴェルピアノ全集/サンソン・フランソワ
こんにちは。今日はラヴェルのピアノ曲"夜のガスパール"です。ラヴェルといえば管弦楽曲の"ボレロ"が有名でオーケストレーションの魔術師などと呼ばれていますが、私にとってのラベルは精緻な構築美とダイナミズムをピアノという楽器で表現し、ピアノの魅力を最大限に引き出しえた作品を数多く残した偉大な作曲家ということになります。
その中で、この"夜のガスパール"はピアニズムの極致を示す最も典型的なラベルの代表作品です。オンディーヌ、絞首台、スカルボという趣の異なる3曲からなる組曲です。オンディーヌは水の精で、"水の戯れ"というやはり素晴らしい小品に似た印象派っぽい曲、スカルボは圧倒的なドライブ感のあるこれぞピアノ芸術と呼べる完璧無比の作品です。
この曲は演奏の困難なピアノ曲としても有名ですので、十分に聴かせることのできるピアニストは限られてきます。これまで聴いた中では、フランソワ、アルゲリッチ、ギーゼギングらの演奏がとてもよいと思います。特に、フランソワとアルゲリッチの演奏は私のFavoritesです。フランソワは天才的なピアニストで時にムラっ気がありますが、このラベル集の"夜の~"と"クープランの墓"は文句なく絶品でしょう。マルタ・アルゲリッチはご存知の通り当代随一の女性ピアニストですが、スカルボでの彼女はそのコントロールされた完璧なテクニックとほとばしる情念が素晴らしいですね。このスカルボについてはアルゲリッチに軍配を上げたくなります。
ラベル"夜のガスパール"/マルタ・アルゲリッチ
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投稿者 mf5w : 10:24
ハイフェッツ/序奏とロンド・カプリチオーソ
2004年08月27日
ハイフェッツ/ツィゴイネルワイゼン~ヴィルトゥオーゾ・ヴァイオリン
こんにちは。今日は生れて初めて自分で買ったレコードの話です。中学1年だったと思いますが、それまで我が家の音源といえばラジオとラジカセだけだったのが、ステレオというものが家庭に持ち込まれました。すぐにイムジチのビバルディ「四季」や小沢征二指揮シカゴ響のムソルグスキー「展覧会の絵」などを親が買ってきました。その頃自分で初めて購入したレコードがアントルモンのドビュッシー「子供の領分」とこのハイフェッツの古いレコードでした。大阪心斎橋にパルコというビルがありそこで中古レコードフェアというものがあるということで駆けつけたように記憶しています。
ヤッシャ・ハイフェッツ(1901-1987)はご存知の方も多いと思いますが、冷徹なまでに磨きぬかれたテクニックと力強くかつ麗わしい音色を持った真のヴィルトゥオーゾ、20世紀を代表するヴァイオリニストです。実際に購入したレコードは、A面にラロ「スペイン交響曲」、B面にサラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」、サン・サーンス「序奏とロンドカプリチオーソ」「ハバネラ」の計4曲が収められていました。スタインバーグ指揮RCA響、1951年録音。現在CDでは発売されていないのかもしれません。
有名なツィゴイネルワイゼンは学校の音楽の時間に聞いて有名な曲と知っていましたので購入したのだと思いますが、実際購入してみて気に入った曲はサン・サーンスの「序奏とロンドカプリチオーソ」でした。とても劇的でロマンティックなメロディーに思春期の中学生はメロメロとなるのでした。ビートルズやカーペンターズなど分かりやすい音楽を受け入れていた背伸び盛りの中学生にとりまして、少し高尚で異国の世界を匂わせる美しい音楽は夢中になるべき格好の対象だったのでしょう。初恋の時期と重なって、曲の最初の部分が流れてくるだけで今でもその頃の胸の高鳴りを思い起こすことができます。音の記憶というものは大したものですね。一時期毎日のように聴いては悲恋のやるせない気持ちを慰めていたように思います。大人になってからはA面のラロも聞くようになりましたが、B面のサン・サーンスの2曲は中高生の頃の大のお気に入りのクラシック曲でした。今でもたまに聴く機会がありますが、今の私にとっては昔の純真な心を懐かしむことのできる貴重な音楽になっています。
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投稿者 mf5w : 10:25
ホロヴィッツ/スクリャービン・アルバム
2004年08月21日
スクリャービン・アルバム/ウラディミール・ホロヴィッツ
こんにちは。スクリャービンのピアノ曲は私のFavoritesです。特にこのホロヴィッツの弾くスクリャービンは別格の最高です。クラシックはあまり熱心なファンではないのですが、ピアノ曲などの器楽曲や協奏曲は結構好んで聴いています。特に、ラベルとスクリャービンがお好みで、バッハ、モーツアルト、ショパン、シューマン、ラフマニノフらもよく聴きます。スクリャービンという作曲家をご存知の方も多いと思います。ラフマニノフと同世代のロシアの作曲家です。例えば次のような紹介サイトもありますのでご参考に。→日本人のためのスクリャービン
このスクリャービンのピアノ曲が何とも魅力がありまして、一度その虜になりますとクセになるというそういうタイプの音楽です。晩年は神秘主義という思想にはまり難解な音楽になってしまいましたが、初期中期のピアノ小品はショパンのピアニズムに濃厚なロシア的ロマンが溶け合ったような惹きつけて離さない魅力があります。
ホロビッツは幼い頃にスクリャービンに会っているとのことですが、スクリャービンのピアノ曲を数多くレコードに残しています。ショパンやシューマン、スカルラッティらの華麗なピアニズムを要求するピアノ曲を得意とする20世紀最大のピアニスト、ホロビッツが奏でるスクリャービンはテクニックに裏打ちされた一点の曇りもない造形美と悪魔的とさえいえるロマンティシズムなど他の追随を全く許さないものでしょう。アシュケナージのソナタ集も有名ですがホロビッツのスクリャービンが私には圧倒的に好ましく思えます。
B面はちょっととっつきにくいですが、A面1~8はいずれも素敵な小品です。1のアルバム・リーフという簡潔だけど素晴らしいモチーフの小品にまず驚かされることでしょう。
1.アルバム・リーフop.45-1
2.エチュード第2番嬰ヘ短調op.8-2
3.エチュード第11番変ロ短調op.8-11
4.エチュード第10番変ニ長調op.8-10
5.エチュード第8番変イ長調op.8-8
6.エチュード第15番嬰ヘ長調op.42-3
7.エチュード第16番嬰ヘ長調op.42-4
8.エチュード第17番嬰ハ短調op.42-5
9.ピアノ・ソナタ第10番ハ長調op.70
10.2つの詩曲op.69
11.焔に向かって(詩曲)op.72
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ スクリャービン・アルバム/ウラディミール・ホロヴィッツ
ホロビッツのCD
スクリャービンのCD
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投稿者 mf5w : 10:26